「フォールディングシーカヤックによる旅」

 数年前から、川や海で、様々なスタイルのカヤックツアーに参加してきました。それぞれの良さはあったと思います。しかし最終的に、海岸線や小さな島々を、キャンプしながらのんびりツーリングするという、今のスタイルに落ち着いています。
 川のパドリングも楽しいですが、残念ながら日本の川は、どこへ行っても腹が立つほど破壊されています。また、出発地点に戻るのが難しいことや、釣り人との接触が避けられないこと、などの理由もあって、本格的に始めるには至りませんでした。
 一方、海は広大で、楽しむ方法は無数にあります。マラソンや遠泳のように、外洋を何十キロも漕ぐスタイルもありますが、これは対象外。かと言って、一般的なシーカヤックツアーのように、数キロの範囲をちょこちょこ漕ぐだけでは物足りません。
 私は、シーカヤックを旅の道具だと思っています。一日10〜20kmぐらいの距離をのんびり漕ぎつつ、沿岸に小さな集落があれば散歩し、綺麗な海底が見えたら素潜りし、気持ちの良さそうなビーチがあれば好きなだけ昼寝する。そんな旅がお気に入りです。カヤックが旅の道具になるのに気が付いたことは、大きな発想の転換でした。今までは、カヤックをするという目的で旅行をしていたものですが、カヤックによる旅自体を楽しむようになったわけです。
 さらに、フォールディングカヤックでは、電車、バス、飛行機、船などの公共の乗り物を使って、好きな土地へ行き、一方通行の旅ができるのが魅力です。リジッド艇の場合は、海岸の艇庫に保管するにしても、車で運搬するにしても、必ず出発地点に戻らないといけません。旅の楽しさは半減してしまいますし、風向きによっては、行動範囲が制限されることになります。
 フォールディングカヤックは、海を旅するための最高のツールです。今後も、その魅力を、出来る限り引き出していきたいと思っています。