「持続可能な開発」

 まだ一般にはあまり知られていないと思いますが、2005年から「国連持続可能な開発のための教育の10年」が始まりました。ところでこの「持続可能な開発」とはどういう意味なのでしょうか? 持続的という点では、究極的には、原始の自然サイクルに戻るというのもひとつの手段です。もしかするとそれは、人間という種が最も長く生き延びるための最善の手段である、という可能性は高い気がしますが、現実的な選択肢でないことは言うまでもありません。
 では、石油や石炭の代わりに、バイオマスや風力などを利用すれば解決するのでしょうか? 自然を利用したエネルギーは、水資源の枯渇や、気候変動により、いつ持続不可能になるとも知れない不安定なものです。自然環境だけでなく、政治、金融、人口、戦争などの要因でも、私たちを取り巻く状況は大きく変化します。一度完璧な資源循環システムを作ったとしても、やがては役立たずになることでしょう。硬直化したシステムは、いつか破綻するものです。
 考え始めると、「持続可能な開発」というのは、含蓄の深い言葉です。結局、「持続可能な開発」によって具現化される、最終的な社会形態があるわけではないように思います。常に開発を続ける限り、人類は持続していくのです。それは人類の定義なのかもしれません。