「マイXで世の中を変える」

 前回、マイ箸で世の中を変えるなどと、大胆なことを書いてしまいました。実際には、マイ箸だけでは、実質的な効果はあまりにもささやかでしょう。しかし、この頃は、マイ箸に留まらず、マイカップやマイ食器の持参を呼びかけるイベントも出てきています。大きなイベントになると、使い捨て容器のごみや、食器を洗うための水、洗剤、人手は膨大ですから、それらを減らすことは開催者側の負荷を非常に軽減できます。また、マイ水筒でペットボトルや自動販売機を減らしてしまおうという運動もありますね。これをもっと発展させることを考えるのは面白そうです。
 そこで「マイX(エックス)」。従来、黙って他者に任せてしまうことで、不本意な方向に経済的な支援していることがいろいろありました。それを、自分の方法に切り替えることにより、消費者の立場から意思を示そうという訳です。
 実は、シーカヤックのキャンプツーリングは、「マイX」の宝庫です。生活のすべてに関わることを自分でやっている訳ですからね。さて、こんな「マイX」はどうでしょうか?
・マイシーツ
 ホテルなどの真っ白のシーツは清潔感はありますが、必要とはいえ1回使っただけで洗うのは、資源やコストの無駄です。そこで、マイシーツ。キャンプ用品に、寝袋用インナーシーツというものがあります。重さは数百グラム程度で持ち運びも苦になりません。夏ならば、これだけでも寝られます。友人の家で泊まるときに持って行くと、気遣いが要らないですね。
 本格的な向きには、エアマットや、ダウンのシュラフがあると、いつでもどこでも快適ベッド感覚で寝られます。(私など、今の出張生活では、普段も寝袋で寝ているので、日常と変わらないんですが)
・マイキッチン
 アウトドアでの料理は、大きなバーベキュー台、大量の炭、重いダッチオーブンなどを使うものだと思っていませんか? ソロキャンプ用のバーナーには、とても軽量コンパクトで持ち運びしやすいものがあります。手軽なのは、カセットコンロ用ボンベが使えるバーナー。ボンベは非常に安くて入手しやすく、節約して使えば、数日間の煮炊きを1本でこなせます。自然エネルギーから選ぶならアルコールが理想的ですが、火力調整や燃料の取扱いに難しさがあるようです。
 キャンプなんてしないという方でも、例えば公園でコーヒーを淹れたり、畑で採れたての野菜をゆでたりと、いろいろ使えるシーンは見つかるのではないでしょうか。最小限の道具で調理するアウトドア料理は、資源節約やシンプルライフにも繋がります。
・マイランドリー
 長期間の旅で、大量の着替えを持って行くのは大変。洗濯をする場合でも、コインランドリーのような、大量の水道光熱費を使うビジネスには加担したくない。ということで、マイランドリーを持参しましょう。
 用意するのは、厚手の布バケツ、石鹸、ロープ、洗濯ばさみ。水さえ確保できる場所が見つかれば、じゃぶじゃぶ洗って、天気のいい日に乾かすだけです。
・マイ宿
 旅先で、ホテルや旅館などを使えば、大きな施設を維持するための膨大なコストを負担することになります。使い放題の冷暖房やシャワー、無駄に明るい照明、毎日のベッドメイク。要らないサービスがあっても断ることもできず、多額の宿泊料が請求されることになります。
 そこで、マイ宿。テントとも言います。田舎であれば、森林、海岸、公園などのちょっとした空地で、テントを張れる場所はすぐに見つかるものです。少し慣れれば、四季を通して、快適に過ごす技は身に付けられますよ。
・マイ交通機関
 脱石油社会を目指してマイカーの利用を控えても、地方での移動まで電車やバスを使おうとすると、あまりにも不便なことが多いですね。そこで、最も効率的でエコロジーな移動手段である、自転車の活用シーンを増やしましょう。
 一番のおすすめは、折りたたみ自転車です。電車やバスと組み合わせて使えば、時間や交通費の大幅削減になりますし、知らない町を自転車でゆっくり走ると、驚くほど沢山の経験ができてしまいます。
 さらに、もうひとつ広めたいのは、折畳みカヤックによる海岸線の旅。これはこのサイトをご覧になっている皆さんには、説明の必要はありませんね。
・マイ畑
 ほとんどの人にとって、野菜は買うものになってしまった現代社会ですが、少量でも、自分で作物を作って、季節の移り変わりや、自然を扱うことの難しさを知ることは大切です。
 私は、今年、自然農の農園を借りているのですが、プランターなどと比べ、露地栽培の畑では、経験することが圧倒的に多いことを実感しています。これは、ぜひ、多くの人に参加してもらいたいですね。
 まだまだいろいろ「マイX」運動は広げられそうです。また思い付き次第、どんどん実行して行くつもりです。