旅の記録13 冬の瀬戸内海横断

■日程■
2005/2/11-14
■距離■
@15.7km A19.0km
B25.7km C5.3km
■同行者■
なし
■交通■
[行き]
JR笠岡駅下車
[帰り]
JR海岸寺駅乗車


 瀬戸内海を南北に渡るのは、縦断?、横断? 地図上では縦方向なので縦断になりそうだけれど、イメージ的には横断と言う方がぴったりくる感じがします。山の場合は、どちらの方向でも、稜線に沿って進むのを縦走と言うので、それにならって横断としておきましょう。そんなことはどうでもよく、とうとう瀬戸内海を渡ってしまったのです。もちろん、最高漕行距離も大幅更新。直線で行けば、一日でも渡れるルートではありますが、たくさん寄り道しながらのんびり行きました。

 出発地点の笠岡駅は、深い入り江に程近い場所にあります。海岸は砂浜ではありませんが、石で護岸されたゆるやかなスロープになっていて、組み立てと出艇ができました。  近くには、大きな総合スーパーもあるので、買出しや水汲みにも便利です。
 笠岡は、カブトガニの繁殖地として有名です。入り江の脇には、カブトガニの形をした巨大な博物館が建っていました。さぞかし海が綺麗なのだろうと思ったら、付近は大規模に埋め立てされ、海もかなり濁っていました。ここで本当にカブトガニが繁殖しているのでしょうか?

 白石島で上陸して、集落を散策していると、小さな島には不釣合いなほど立派なお寺がありました。弘法大師ゆかりの開龍寺・仏舎利塔だそうです。霊場巡りの順路もありましたが、すべて回るほど時間がなかったので、仏舎利塔を見てから引き返しました。

 この日は、白石島東岸の浜でキャンプ。ごろごろした石と海草が、原始的な風景を作っています。有人島であることを忘れてしまいそうです。
 翌日は、北木島、真鍋島、佐柳島と順調に漕ぎ進めて行きました。佐柳島は猫が異常に多く、上陸しようとしたら、カヤックに群がってきて困りました。島の東側に突き出した砂鼻まで行くと、キャンプに良さそうな広い砂浜が広がっていました。歩いて行ける所に、港のトイレもあり、このツーリングで一番快適なキャンプ地でした。
 翌日、高見島では、地元の人が海岸の焚き火で暖を取っており、島の話を少し聞くことができました。左は高見島のお墓。右が次に訪れる粟島のお墓。島ごとに独特な形をしていて、興味深かったです。

 高見島から粟島の間は、今回一番距離の長い区間で、大型船が次々に通る航路になっています。待っていても埒が明かないので、船の進行方向を確認しながら思い切って渡り切りました。グループでの渡航はかなり厳しいかもしれません。
 粟島はとても珍しい形をした島です。3つの島が繋がって、クローバーのような形をしています。地図で見ただけで、楽しそうな島だと感じていましたが、実際に行ってみるとやはり思った通り。入り江は穏やかで、海の透明度も良く、のどかな風景が広がっていました。

南方にはいよいよ四国の山並みが間近に見えていて感動しました。上陸して、しばらく島内を散策。とても良い気分になってきて、このまますぐに帰ってしまっては、もったいないと思い、粟島の西側を回って行く事にしました。しかしこれが判断ミス。西側に回り込もうとするあたりから、急に風と波が出てきました。しかも、南側からの向かい風で、かなり頑張って漕いでものろのろとしか進みません。波はいろいろな方向から不規則に打ち寄せてきて、少しでも油断すると倒されそうでした。どうにか南端にたどり着くと、一転して強い追い風。バランスを取る程度にパドルを操作していれば、かなりのスピードで進んで行きます。この日に帰る予定でしたが、徐々に日が傾き始め、疲れもピークに達していたので、無理をせず、もう一日キャンプすることにしました。

 3日目のキャンプ地となった志々島は、「男はつらいよ」の撮影があった島で、風情のある古い家が残っています。しかし、人はほとんど見かけず、少々寂しい島でした。
 翌朝は、5時半起き。0度近くの冷え込みの中パッキングし、7時の日の出直前に出艇。真正面に顔を出した朝日に向かって漕ぎ出しました。風は全くなく、約1時間で河口付近まで到着しました。ところが、ちょうど干潮時に当たったため、川の水位は低く、カヤックでもほとんど漕ぐことができません。仕方なく、ロープで引っ張りながら川を上り、海岸寺駅付近で上陸しました。川岸は急斜面に護岸され、牡蠣の殻がぎっしり付いており、フォールディングカヤックには厳しい状況でしたが、階段を見つけて強引に持ち上げました。ここを到着地に設定するならば、干潮時を避け、上げ潮のタイミングに合わせると良いでしょう。
 通学の学生にじろじろ見られながらパッキングし、電車を乗り継いで帰宅。どうにか午後からの仕事には間に合いましたが、感覚は一日海の上でした。